文献調査と引用
基本的に、意見を述べるためには、以下のようなステップが必要になる。
- ① 情報収集
- 物事を説明するために、正しい情報を得る
- ② 情報引用
- 事実を説明するときは、どこから得た情報かを示す
- ③ 考察(意見)
- 考えを説明するときは、なぜその考えに至ったかを書く
意見を伝えるためには、その根拠となる事実を①情報収集によって調査し、②情報引用によって提示する必要がある。
情報収集は文献調査と言い換えることもできる。
本節では一般的な文献調査およびそれらを提示して説明する手段である引用について説明する。
文献調査
文献調査においては、刊行された論文、書類、書籍を対象に調査するのが一般的である。
検索エンジンを利用して調査しても良いが、一般的なWebサイトがヒットする場合もあり効率的ではない。
そのため、文献の調査においてはデータベースを活用した調査を行うのが効率的である。
以下ではデータベースの一例を紹介する。
CiNii
国立情報学研究所(NII)がしている論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報で検索できるデータベース・サービスである。基本的には国内で発行された文献を対象としている。
Google Scholar
Googleが提供している論文、学術誌、出版物の全文やメタデータにアクセスできるデータベース・サービスである。世界中の文献を調査することができる。
ArXiv
主に理工学分野の論文が保存・公開されているデータベース・サービスである。
一般的に論文は査読プロセス(論文の内容が正しいか、実験的に証明されているか、などを第三者が確認するプロセス)が設けられているため、論文が発行された時点ではすでに最新の研究成果ではなくなっていることがある。
そういったことを防ぎ、素早い情報交換を目的として作られたサービスである。
情報科学の分野などでは最新の技術動向を把握するために活用される事が多い。
引用
自分の意見を伝えるに当たり、根拠となる事実を説明するためには引用が不可欠である。
引用の書き方
引用は2パターンある。ひとつは文章を一言一句違わず記載する直接引用である。もうひとつは内容を要約して記載する間接引用である。
直接引用は、引用部が明確になるようかっこでくくる、文献情報に加えページ数を記載する。
「XXについてYYである」(田中, 2010, p.16)と述べている。
ただし、長い文章の場合はインデントを変える、行間を空けるなどして本文と明確に区別できるようにする。
一方で、間接引用は要約と文献情報を記載する。
Aの実験についてBの結果が得られることが確認されている(山田, 2020)。
なお、今回の例ではハーバード方式を用いたが、実際の形式は分野によって異なる。例えば筆者が専門とする工学分野では、以下のようなシカゴ方式が一般的である。どの形式を採用するかは事前に確認しておくことを奨励する。
Aの実験についてBの結果が得られることが確認されている[1]。
[1] 山田太郎, XXにおけるYYの適用と評価, 2020
引用についてより詳細な作法について確認したい場合は、文献を引用する(千葉大学図書館)や文献引用の方法について(2019年度版)、参考文献の書き方などを一読することで理解が深まる。
参考文献
情報収集、引用の作法を交えた総合的な文書・レポート作成の作法については、様々な大学がガイドラインを公開している。
以下に紹介するので、是非活用してほしい。